オンラインとオフラインのデータを融合して活用
データの価値を最大限引き出す

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10月26日、27日にオンラインセミナー「Data Science Forum 2022」が開催された。開催6年目を迎えた本フォーラムでは、DXに必要な「データサイエンス」、「デジタルツール」をテーマに掲げ、データの利活用の最新事例やAI(人工知能)の実装による意思決定の加速の方法論、人材育成の在り方などが紹介された。

データ活用で「精度の高い未来予測」
社会の変化に迅速に対応

KDDI 経営戦略本部データマネジメント部長 山本隆広氏

未来予測が困難な社会で変化を察知し続けるには、多様なデータを収集、分析し、リアルタイムで顧客ニーズや市場動向、社会情勢をつかみ、少しでも「精度の高い未来予測」につなげていくことが重要だ。KDDIはauスマートフォンユーザーから同意のうえ取得した位置情報データを活用した人流データを作成し、「精度の高い未来予測」を行うための材料を各業界に提供してきた。KDDI 経営戦略本部データマネジメント部長の山本隆広氏は「人流データを活用することで、観光業では観光客の周遊状況、不動産業では商業施設等のエリア動態、小売業では店舗周辺の人出のボリュームや性別、年代といった属性、さらに金融業では工場や商業施設等の滞在者数の変化を分析することが可能になる。それらの材料を用いれば企業戦略の意思決定を精度高く行える」と説明する。

データ活用が重要であることは多くの企業が納得するところだ。だが、実際にはデータ活用が思うように進んでいないケースは多い。その理由のひとつとしてオンラインとオフラインのデータを融合して活用できていないという点がある。これではデータの価値を最大限引き出すことは難しい。

OMOプラットフォームの活用で
ユーザーの特性に合わせた高精度の訴求が可能に

こうしたなか、OMO(Online Merges with Offline)データの活用について取り組みを進めているのがKDDIとARISE analytics (以下ARISE)だ。ARISEではオンラインとオフラインのデータを融合してユーザーの特徴を把握するOMOプラットフォームを構築している。OMOプラットフォームはKDDIが持つ膨大な位置情報データや各種サービス利用情報をもとに、顧客の興味関心や来訪確率などのオフライン行動スコアをターゲティング条件としてクイックに活用できる仕組みであり、さまざまな用途に合わせた配信セグメントを作成し、ユーザーの特性に合わせた訴求を行っている。

ARISE analytics OMO Marketing Team Lead 原田イサドーラ氏

実際の活用事例は、山本氏に代わりARISE でOMO Marketing Team Lead を務める原田イサドーラ氏により紹介された。まず紹介されたのは、KDDIとARISEがローソンとの協業で行ったスマートフォンの位置情報と購買情報を活用した1to1マーケティングの実証実験だ。位置情報データでユーザーの行動パターンを確率分布としてモデル化することで、任意のエリアに対する来訪確率を算出。位置と購買の情報を分析して特定の時間帯に特定のエリアにいる確率の高いユーザーに対し、キャンペーン実施時間帯にタイムセールクーポンを配信、特定店舗への来店を促し廃棄ロス削減に取り組む施策だ。ポイントは店舗から離れたエリアに居住していても、エリア滞在確率の高いユーザーであればクーポンが配信されることにある。この仕組みを活用することで、クーポン配信時にそのエリアに滞在しているユーザーに接触しやすくなる。過去にたまたま来店したユーザーに漫然とクーポンを配信するケースは少なくなるはずだ。この実証実験の結果、クーポン配信対象者のうち、店舗への来訪確率上位20%のユーザーについてクーポン利用率が2倍以上であることがわかったという。また、高校野球サイトの「バーチャル高校野球」の事例では、野球の興味関心スコアが高いユーザーに対してKDDIオウンドアプリでPush配信を実施することで動画配信を訴求。スコア上位10%に配信した場合の視聴者獲得効率はランダムで行ったケースと比較して約3.5倍になったという。

データは活用しただけで終わりではない。価値提供からデータの収集、分析、戦略立案というサイクルを回し続けていくことが重要になる。KDDIではARISE のほか、GEOTRA社の次世代都市シミュレータやメッセージ配信サービス「KDDI Message Cast」、SupershipのScaleOut DSPによるターゲティング広告配信、位置情報を活用した広告PF、medibaのプラスポイントアンケートなど、KDDIグループの強みを生かした多様なソリューションを提供している。山本氏は「データの価値を最大限引き出し、企業のデータドリブン実践をトータルで支援していく」と語り、講演を締めくくった。