データ活用 企業変革を劇的に推進

目次

10月26日、27日にオンラインセミナー「Data Science Forum 2022」が開催された。開催6年目を迎えた本フォーラムでは、DXに必要な「データサイエンス」、「デジタルツール」をテーマに掲げ、データの利活用の最新事例やAI(人工知能)の実装による意思決定の加速の方法論、人材育成の在り方などが紹介された。

Day1 データサイエンス

ビッグデータ時代に必要な正しい効果測定の考え方

「統計的因果推論」意思決定に寄与

慶応義塾大学経済学部 教授(統計学・行動経済学・マーケティング) エコノミクスデザイン(EDI)取締役 星野 崇宏氏

ビッグデータをAIで解析すればビジネスの意思決定を自動化できるわけではない。AIやデータサイエンスは、過去のデータのパターンを学習しているに過ぎず、状況が変わってしまえば正しい結果を得られないからだ。さらに、ビッグデータに存在するバイアスのせいで、誤った結論を導いてしまうこともある。自社データを使って、競合の顧客を奪う施策を実行しても徒労に終わることが多いのはそのためだ。

また、相関ではなく因果を理解して施策を実行すべきなのに、それができていないという点も挙げられる。リターゲティング広告がその典型例で、相関だけで因果関係を決めると間違えてしまう。

ビッグデータ時代において、正しい効果測定をするためには、計量経済学で研究が進む統計的因果推論を用いることが重要だ。海外においては統計的因果推論が大いに活用されており、ビジネスの意思決定に寄与している。日本においても活用が期待される。

Day2 デジタルツール

いまこそ知りたいDX戦略 ~DXで未来を拓こう~

競争優位性の再定義がカギ

パロアルトインサイト CEO 順天堂大学大学院 データサイエンス学科 客員教授 石角 友愛氏

DX成功の鍵は3つある。1つ目はDXの成功体験を積むことだ。最初は赤字事業からDXを始めるのも一案だ。赤字事業であれば少しの改善でもDXの成功体験を得られる。2つ目はより売上に近いデータをデジタル化し、資産として活用することだ。そうすることで、データ活用によるマーケティング強化などがスムーズに行える。3つ目は意思決定の上流工程からDXを推進することだ。例えば発注量予測ではなく需要予測から取り組んでみる。需要予測のデータの流れを把握することで、発注量予測や人材配置などのDXを円滑に推進できる可能性が高くなる。同時にサプライチェーンについても考慮できればベストだ。

DXをスタートさせる際はコア(競争優位性)を再定義したい。そうすれば、社会の変容やビジネスモデルの変化を考慮したDXを推進できるはずだ。コンバージェンス(集中)からダイバージェンス(拡散)の時代に移行し、長年続けてきたビジネスの攻略法もセオリーも通用しない。人と組織の変革が求められる今こそDXを推進すべきだ。

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