業務におけるデータ活用 行政も待ったなし

集めたデータやファクトを分析し、それに基づいて意思決定や企画立案などを行う「データ駆動経営」が日本でも重視されるようになってきた。紙による連絡が多かった港湾・貿易の手続きでも関連データ連携基盤「サイバーポート」の第一次運用が4月にスタート。自治体も窓口のDXを進めている。 本コラムは2021年4月28日日本経済新聞朝刊掲載 広告企画「2021年DXの本格的夜明け」を採録したものです。

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ホワイトカラー業務のDX

データ駆動経営は客観的なデータを基に経営の意思決定などを行うものだ。肌感覚はもちろん大切だが、感覚や勘に頼りすぎると誤った判断やマンネリに陥りかねない。自社を取り巻く状況を分析できていない企業は意外と多く、健康診断と同様、嫌なデータや認識とのズレを直視することから始まる。

特にこれからは、事業運営の際に発生する業務のデータ駆動化が重要だ。ペーパレス化や押印作業の削減などルーティン業務の情報技術化がある程度進んだ今、ホワイトカラー業務への適用が重要となっている。三菱総合研究所研究理事の比屋根一雄氏は「DXの真の目的は事業の付加価値を向上させ、ビジネスモデルの変革につなげることにある」と指摘する。

データ駆動型の事業運営に向いているのは①様々な情報に基づいて意思決定を行う業務②意思決定の件数・回数が多い業務③環境の変化に応じて意思決定の基準・ロジックの改善が必要な業務――だ。具体的にはデジタルマーケティングや、需給状況に応じて価格を変動させ需要の調整を図るダイナミックプライシング、人工知能(AI)による自動審査や製造工程の匠(たくみ)の技術化などがある。

注目される背景には、ここ数年でデータ活用の取り組みが増えたことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークの導入率が大幅に増加したことがある。

「令和2年版情報通信白書」によると、最高データ責任者(CDO)を置いた企業は3年前の18.5%から31.2%に増加。データ分析の専門組織を設置した企業は同15.8%から32.6%へとほぼ倍増した。データ分析に基づく経営判断を行っていると答えた企業は同17.2%から39.8%と2倍以上に増えた。

企業活動で活用しているデータの種類について分析すると、5年前の調査に比べPOSやeコマースによる販売記録やMtoMデータを含む自動取得データの活用が大きく進展し、電話など音声データの活用も進んでいる。

東京都が昨年、従業員30人以上の企業に行ったテレワーク導入率の調査では、20年3月時点ではテレワークを導入していた企業は24%にすぎなかったが、翌4月には一気に63%へと急増した。今後、コロナが収束に向かってもDXの流れは変わらないだろう。

業界横断で取り組む

業界全体でサプライチェーンのDXを進める動きも出てきた。あるサプライチェーンでは、情報の電子化や共有化を行うことで計画的な生産および輸配送を行い、商品提供を安定化させることを目指している。

1次産業や中小企業間のサプライチェーンでは、依然としてファクスやメール添付による情報伝達が多い。それを単独組織で改善しても業務の効率化にとどまる。さらなる変革には業界横断で取り組む必要があり、①情報そのものの電子化②組織間・企業間での情報共有の整流化③情報活用による変革――が必要だ。

港湾・貿易手続きの分野でも、各社グループ内での電子化は進んでいるものの、横のつながりでは半分の手続きが紙やファクス、電話のままで、情報共有がスムーズとはいえない。

そのため国土交通省は、外部に一定の条件下で開放するAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)連携などを通じて、様々な事業者がアクセス可能な「サイバーポート」の第一次運用を4月から始めた。

統一した形式で書類の作成や送信、データの取得や再入力が行われるため、作業時間やシステム改修費が削減される。民間業者間の港湾物流手続きの進捗状況が可視化され、サイバーポートを通じて輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)の手続きが可能になれば、今後、港湾物流と税関の手続きがワンストップでできるようになる。

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