デジタル庁「出航」日本をアップデート

5月12日、デジタル改革関連法案が成立。デジタルトランスフォーメーション(DX)という大海にこぎ出す「デジタルニッポン丸」が進水した。9月1日のデジタル庁「出航」に向け、人員の確保や組織再編、ツールの安全確認など様々な準備が急ピッチで進んでいる。今後の航海をどうかじ取りしていくのか、ビジネスモデルはどう変わっていくのか、日本のDXの針路を探る。 本コラムは2021年6月29日日本経済新聞朝刊掲載 広告企画「いざ拓け日本のDX」を採録したものです。

目次

インタビュー

デジタル改革担当相 平井卓也氏

1980年上智大学卒。電通、西日本放送社長などを経て2000年衆院選初当選。当選7回。自民党IT戦略特命委員会委員長などを歴任。18年IT政策担当相、内閣府特命担当相、19年自民党デジタル社会推進特別委員長に就任。20年現職。IT政策担当相、内閣府特命担当相(マイナンバー制度)兼任。63歳

出遅れをアドバンテージに

―――9月のデジタル庁発足に向け、どのような思いを持っているか。 コロナ禍のいま、行政サービスや民間におけるデジタル化の遅れなど、様々な課題が浮き彫りになった。国や地方の情報システムの連携が取れていなかったこと、制度や手続きの所管が複数省庁に分散し、全体最適ができていなかったことなどが、その原因だ。国民のメリットを最大化し、誰もがデジタル化の恩恵を実感できる仕組みへと作り変えなければいけない。 デジタル庁は「成長戦略の柱」であり、「規制改革の象徴」。官民を問わず能力の高い多様な人材が集まり、強い統率・調整機能を持つ組織として、社会全体のデジタル化を推し進める司令塔になる。「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル社会」をつくり上げていく覚悟だ。 ―――デジタル化の遅れは取り戻せるのか。 日本のデジタル化は世界から遅れている。しかし、先行する国からリスクや注意点を学ぶことで、それをアドバンテージに変えられる。例えば、米国や中国のデジタル施策は様々な格差を生んでいる。そこで我々はUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザー体験)を重視し、アクセシビリティーを高める。幸い、日本は高速かつ高品質なネットワークインフラが整備されている。出遅れのアドバンテージを最大化して、一気に追いつく。 ―――そのために国のシステムを根本から作り直す。 そうだ。いま年間8,000億円のシステム予算のうち5,000億円がシステムの維持管理費。特定のIT(情報技術)ベンダーに発注していたことで、乗り換え困難なベンダーロックイン状態となっていた。そこでクラウドベースの国民目線に立ったシステムへとアーキテクチャーから見直して作り直す。私はIT担当相を辞める際に「本気でデジタル改革をやるなら、システム調達の権限など、強力な権限を持つ組織をつくらなければ無理だ」と言った。 デジタル庁は各省庁への勧告権など強力な総合調整機能が付与された。我々がシステム予算を一括管理して分配する。共通基盤システムが整備できれば、システムコストを大幅に削減でき、迅速な行政サービスの提供が可能になる。 ―――調達改革の推進に大切なことは何か。 コンプライアンスがとても重要だ。なぜなら、公平・公正な調達でなければ、大胆かつ積極的な改革を推し進めることができないからだ。そこで外部の人もメンバーに入るコンプライアンス委員会を早期に設置する。私も含め、組織全体に対して、厳しい目でチェックしてもらう。

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いざ拓け日本のDX

本コラムは日本経済新聞掲載 広告企画「いざ拓け日本のDX」を採録したものです。