標準化起点に医療DX推進 第3部 産業界からの医療のデジタル改革への期待 〜医療DX③〜

目次

デジタル改革を通じて、日本の医療が抱える課題を克服する。12月7日に開かれたシンポジウム「健康・医療のデジタル改革に向けて MEJ四次元医療改革研究会」(一般社団法人Medical Excellence JAPAN=MEJ、日本経済新聞社主催)は「電子カルテシステムの改革に向けた提言」を公表。国、医学界、産業界の進むべき方向を示すことで、医療改革に向けた第一歩を踏み出した。

第3部 産業界からの医療のデジタル改革への期待

座長 メディヴァ 代表取締役社長 大石 佳能子氏

ワクワクする未来、産業界から

(左)一般社団法人日本セルフケア推進協議会 代表理事(会長) 三輪 芳弘氏
(右)一般社団法人 日本医療機器産業連合会 副会長 渡部 眞 氏

(左)NEC 医療ソリューション事業部 上席事業主幹 福井 誠氏
(右)中外製薬 プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット 科学技術情報部長 石井 暢也氏

サクラグローバルホールディング 代表取締役会長 松本 謙一氏

大石四次元医療改革は壮大な構想。産官学が団結しないと成立しない。産業界の力は重要で、国民がワクワクするような姿を見せていくことが必要だ。 三輪個人のウェルビーイングの実現に2つの重要なキーワードがある。それは健康に対する正しい理解を深め、疾病の発症と重症化予防にとどまらない多面的な健康づくりのための行動を習慣化する「日本型セルフケア」と状況・変化に応じて最適な選択をする「健康サイクル」だ。 健康に関わるアプリやウエアラブル機器が普及しており、蓄積されたPHR(個人健康記録)データを基にAIを活用することで、個人の健康増進、疾病やリスク回避に役立てていくことが可能になる。 渡部Society5・0を支える医療機器産業を目指しており、医機連としても活動し、産業もグローバル成長している。すでにデジタル化は活発に進展しており、これに伴って医療機器産業のあり方が大きく変わっていく。グローバル化、デジタル化を通して健康・医療に貢献し、産業として成長する。 デジタル・イノベーションを進展させるためには、ステークホルダーと一緒になって4つのテーマに取り組む必要がある。特に、データ利活用については、質の高いデータベースを構築する必要があり、電子カルテ改革はその最上流として期待している。 福井中期経営計画「NECビジョン2030」ではヘルスケア・ライフサイエンス事業を、暮らしや社会、環境の中で特に人に寄り添い心躍る暮らしを支える成長事業として位置付けた。注力するのは「メディカルケア」「ライフスタイルサポート」とAI創薬支援などの技術を駆使し、個人に合わせた医療を科学で支える「ライフサイエンス」の3領域だ。 電子カルテは幅広い分野で社会的な公器として貢献する必要があり、データの共通化、統合活用は不可欠。未来の医療に向けて、施設間やベンダーの枠を超えた連携も重要だ。 石井個別化医療という概念が出てくる前は、より多く使われた薬剤が良い薬だという認識があった。今後はこの考え方が逆転し、まず患者さんがあり、適切な治療として複数のオプションを出す高度な個別化医療の時代が来る。我々が目指すのは個々の患者さんに最適な医薬品+α(データ、情報、サービスなど)の提供。データ利活用が進めば、健康寿命が延伸され、医薬品の承認申請にデータが使え、患者さんへの提供の迅速化や画期的な新薬づくりにつながる。 松本ヘルスケア産業には①安定供給②人材③DXへの対応④国内拠点・市場の発掘⑤さらなるグローバル化への対応――という5つのキーワードがある。医療分野での課題解決のカギはDXであり、スマートホスピタル、スマート検査室など「スマートxx」の実現だ。働き方改革になるとの声の一方、自動化に伴い失業を懸念する声もあり、人に寄り添う気持ちが何よりも大事になる。

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