方が育むDXの芽 人材還流が成果生む

目次

案件分類しメニューブック

若宮健嗣・デジタル田園都市国家構想担当大臣がインタビューでも言及した「Digi田甲子園」は、デジタルの活用により、医療、教育、物流、交通といった地域の様々な課題を解決し、住民の暮らしの利便性と豊かさの向上や、地域の産業振興につながっている取り組みを募集し表彰する事業だ。高齢者、障害者など、あらゆる人がデジタル化の恩恵を享受できる「誰一人取り残されない」社会の実現に寄与しているものも対象となる。「全国津々浦々にデジタル田園都市を広げていくには、創意工夫あふれる取り組みを積極的に発信し、横展開していくことが必要」という岸田文雄首相の指示で開催が決まった。

第一回目の「夏のDigi田甲子園」は都道県単位で選考・推薦して地区予選を通過したものが、夏以降の本選に進む。既に地区予選は6月10日に締め切られ、約150件の応募があったという。本選では紹介動画を専用サイトにアップし、国民が広くインターネットで投票するとともに、最終的には有識者による審査も実施して表彰案件を決定する。遅くとも8月中にはネット投票を開始できるように準備中だという。

若宮大臣は「応募案件を整理して『デジ田メニューブック』を作りたい」と意気込む。メニューブックを見れば、各地域が自分たちの抱える課題をほかの地域がどのように解決したかがわかるような事例集にする方針だ。

また「成功例だけでなく、失敗したケースも盛り込み、実践的なものにしたい」(若宮大臣)という。初回の「Digi田甲子園」は都道府県からの応募に絞ったが、二回目以降は企業や個人など民間からのアイデアも幅広く発掘する予定だ。

GIGAスクール構想

学びのDXへ アンラーンが鍵

文部科学省が2019年12月に打ち出した「GIGAスクール構想」は、新型コロナウイルス感染拡大により、前倒しで実施され、21年3月末にはほぼずべての自治体で1人1台の端末配備が完了した。21年7月末現在、全国の公立の小学校の96.2%、中学校の96.5%で、「全学年」または「一部の学年」で1人1台の端末の利活用が開始され、22年度はGIGAスクール構想が本格化、全国で学びのDXが始まった。

GIGAスクール構想は、ICT(情報通信機器)などのデジタル技術を活用して、創造性や思考力を育む教育を行うことで、Society5.0時代を生きていくために必要な資質・能力を備えた人材を持続的に育成するのが狙いだ。昨年1月には中央教育審議会が2020年代を通じて実現を目指す「令和の日本型学校教育」の姿として、すべての子供たちの可能性を引き出す、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現を示した。こうした学びの実現に向け、配備された1人1台端末をどのように活用していくか、いま教育現場で様々な取り組みが進められている。

教育のICT化に詳しい情報通信総合研究所の平井聡一郎特別研究員は「GIGAスクール構想で整備された環境は、新たな学びに向けたスタートラインに過ぎない」と指摘する。配備された機器やネット環境をとにかく使うことで、子供も教職員も慣れると同時に、その過程で顕在化する課題を一つひとつクリアして、新たな授業スタイルへと、学びをデザインし直していくことが不可欠だからだ。そこで平井氏は「アンラ―ンが重要」と主張する。アンラーンとは、これまでに学んだ知識や身に付けた技術を振り返り、さらなる学びや成長につながる形へと整理し直すプロセス。これまでの学校教育で当たり前とされてきたことを問い直し、新たな学びをつくり上げていく上で、アンラーンによるマインドセットが欠かせない。学ぶ内容に応じた学び方の多様化が重要であり、デジタルの力でその実現を図る。こうした学びのDXは教育のICT化はもちろん、教職員の働き方改革や地域社会の活性化にもつながるはずだ。

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