データ起点に価値創出 経験こそ成長への近道〜DX人材フォーラム2022①〜|コラム|日本経済新聞社
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2023/02/02

目次
コロナ禍を経て、経営者はデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性を一段と強く認識するようになった。DX推進に必要な環境整備で、最も重要な要件は人材の確保と育成だ。そこで日本経済新聞社は「DX人材フォーラム2022 ~DXを推進するための組織・文化形成と人材育成~」を2022年12月16日にオンライン開催した。DX推進に必要な人材・スキルと、その育成方法や課題について有識者と専門家が議論した
DX人材育成とダイバーシティ&インクルージョンへの取り組み
DXとD&Iの相互作用を

大和証券グループ本社 執行役社長CEO 中田 誠司氏
加速する市場環境の変化やテクノロジーの進化に適応できなければ、企業は淘汰されてしまう。そこで大和証券グループでは多様な人材を育成・採用する土壌・風土を醸成し、多様な価値観やキャリアを受け入れ、社内によい摩擦を生み出して、それをDX推進につなげることで、競争力の維持・強化を図っている。 具体的には、データを起点に人とデータ・デジタル技術それぞれの強みを融合させ、トップライン向上とビジネスの高度化を図っていく。ポイントは「デジタルとリアルのベストミックス」と「データ駆動型ビジネスモデルへの変革」。全役職員がDXを自分事として捉え、データやデジタルを起点とした現場発信でのビジネスモデル変革を推し進める。そこでデジタルスキル習得に向け、レベルを分けた人材育成を行っている。 2019年にはビジネスがわかるデジタルIT人材を育成するため、「デジタルITマスター認定制度」を開始。22年4月には「Daiwa Digital College」を開講した。私が議長を務める「データ駆動推進協議会」を設置し、データ活用、デジタル化を強力に推進している DX推進とダイバーシティ&インクルージョン(D&I)は密接な関係がある。D&Iが浸透していない組織ではDXが進まず、人材の流出につながり、競争力の低下を招く。 そこで多様な人材が活躍できる制度・環境の整備を目的に、21年度は高度な専門性を生かして活躍する職員を認定する「エキスパートコース」を新設。キャリア採用を強化し、専門人材の定着に向け、オンボーディング施策など取り組みも行っている。
アフラック流DX人財育成 ~新たな価値を創造する人財を目指して~
全部門、全社員が対象に

アフラック IT・デジタル業務部長 江川 錦栄氏
当社のDXの取り組み「[email protected]」には3つの柱がある。 1番目はコアビジネスである生命保険事業の領域、2番目は生命保険以外の新しい領域であり、クラウド型デジタルサービスの「ADaaS/Aflac Digital as a Service」に注力。インターネット上での保険ショップ開設や、AIを活用した募集人マッチングサービスなど各種デジタルサービスを提供する。 そして3番目はこれら2本の柱を支える基盤だ。これはITインフラだけでなく、組織、管理、人材育成も含む。 DX人材の育成・獲得はこの3番目の基盤領域の中でも非常に重要だ。当社では全部門、全社員がデジタルテクノロジーを活用してビジネス変革を実現できる人財であると考え、育成を行っている。DX人材は「ハイブリッド人財」と「テック人財」の2つに分類する。 「ハイブリッド人財」は、ビジネスとテクノロジーの両方を理解して、ビジネス価値を提供するための仕組みを設計できる人材を指す。「テック人財」は、主にIT・デジタル部門でテクノロジーとデータを使いこなし、ビジネスに活用可能な提案のできる人材を指す。 DX人材に必要な能力、特性として、様々なスキルの集合である「ケイパビリティ」と呼ぶ概念を定義した。各業務領域の特性に合わせ15種類のケイパビリティを設定(2022年12月16日時点)。各ケイパビリティの認定に必要なスキルを定義した。スキル別の研修、ケイパビリティ別の演習、さらに職場内訓練(OJT)の3段階でDX人材を育成、認定する制度を作り、現場で即戦力となる人材の育成を加速させている。