【前編】九州からニッポンを動かす

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デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じて地域課題を解決する機運が高まる中、それを担うデジタル人材の育成が急務となっている。日本経済新聞社は「日経デジタルフォーラム in Fukuoka ~九州からニッポンを動かす~」を福岡市からオンラインで開催。パネリストからは、産学官の連携やスタートアップ育成など福岡や九州が持つ強みを生かしながら、デジタル化を先導することで、地域の活性化や新産業の創出につなげるべきだとの考えが示された。

デジタル庁、新しい価値提供

オープニングスピーチ① デジタル改革担当大臣 平井卓也氏(肩書は当時)

九州、特に福岡はスタートアップのエコシステムの拠点都市として、グローバルに展開できるエリアだと感じています。

デジタル庁は官と民とのハイブリッドの新しい組織です。新しい価値を国民に提供する、チャレンジングで初めての試みですが、高齢化や災害の問題を考えると、変えるべきものは変え、デジタルを実装すべきものはすぐにでも実装していくことが必要です。

デジタル庁が目指す世界観は、場所を選ばず、いろいろな選択肢を持って仕事ができ、いろいろな幸せの求め方ができる社会をつくることです。誰一人取り残さないデジタル化も大事なポイントで、特に高齢者が増える社会において、申請主義からの脱却は非常に重要です。

トータルのアーキテクチャーを見直し、基本になる基盤は政府がつくり、ローカルはローカルの意思で新しいことにチャレンジできる環境をつくる。そのためには自治体や民間とのコミュニケーションがさらに重要な局面だと思います。デジタル庁は常にオープンです。皆さんと連携を深め、悩みながら、迷いながら、しかし、決めることは決めて、確実に前に進めていきます。

九州経済発展にDXで貢献

オープニングスピーチ② 福岡県知事 服部誠太郎氏

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、人々の生活や産業・経済は大きな打撃を受けています。私たちはデジタル化の遅れを痛感し、デジタル化、その先にあるデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性を改めて認識しました。

本県では、「デジタル戦略推進室」を新設し、デジタル社会のあり方を示す「福岡県DX戦略」を今年度中に策定します。行政のデジタル化、ICT人材の育成、最新技術を駆使したサービスの創出支援に取り組みます。県内雇用の8割を担う中小企業は、経済発展の原動力です。DXを進めるためには人材の育成が必要であり、経営トップから現場技術者までを対象としたセミナーを実施します。「デジタル化実証支援ラボ」を新設し、ものづくり中小企業のデジタル化を支援します。

さらに政府は、急増するデジタル需要や経済安全保障の観点から、データセンターの国内整備の方針を発表し、本県はその誘致を積極的に進めてまいります。日本の発展を支えていくのは私たちの九州です。九州のリーダー県として、福岡県のデジタル化を積極的に推進し、九州の発展に貢献したいと考えています。

デジタル社会 力合わせ推進

オープニングスピーチ③ 慶應義塾大学教授 村井純氏

デジタル庁が発足する2021年は我が国のデジタル化にとって大きな1年となります。グローバルパンデミックの嵐が吹き荒れたことは、デジタル社会の推進に対する大きな問題意識を国民全体と共有するきっかけになりました。準備していた未来社会のビジョンそのものが、前倒しになったと思います。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進にはすべてのステークホルダーが力を合わせることが重要です。日本で本当に成功したDX、11年のアナログ放送の停波もコミュニティーや地方自治体が力を合わせて実現しました。ステークホルダーが力を合わせるプロデュースそのものがデジタル庁の大きな使命です。

デジタル社会として大きな力を持っていくために、東京一極集中の解消も重要で、データセンターをどこに置くのかが大事です。福岡など日本の7大都市はすべてトップ候補地の産業・人口規模を持っています。官民、そして一人ひとりが力を合わせて推進できるようにしたら、日本の良さである安全・安心で高品質のサービスがあるデジタル社会をつくれるのではないかと思います。

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