「書面、押印、対面」 今は昔

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コロナ禍により「脱ハンコ」が叫ばれるようになって約1年が過ぎた。「書面、押印、対面」を原則とするような仕事の進め方は見直しが進み、コロナ禍を経たニューノーマル(新常態)時代の働き方を探る動きが進む。政府が進める行政手続きの押印廃止に続き、民間企業では脱ハンコを契機として、デジタル化による業務プロセス全体の効率化が加速しつつある。

廃止への法整備進む

コロナ禍でリモートワークへの切り替えが求められた際、書類に押印するためだけに出社する「ハンコ出社」が問題となり、日本社会のデジタル化の遅れが顕在化した。

デジタル化の推進を重要政策の一つに据える政府は昨年7月、「書面、押印、対面」を原則とする行政手続きなどの見直しを盛り込んだ「規制改革実施計画」を閣議決定した。9月には河野太郎行政改革・規制改革担当相が全府省庁に行政手続きにおける押印の廃止を検討するよう指示。民間から行政機関への申請などで押印が求められるおよそ1万5,600種類の手続きのうち、約99%は押印を廃止することとなった。約97%の手続きについては、2020年度末までに押印廃止に必要な政省令などの改正が完了している。

先の通常国会では「デジタル社会形成整備法」など押印廃止に必要な法整備を進めた。先月閣議決定した「規制改革実施計画」では、書面、押印、対面の見直しについて可能な限り前倒しを図りながらデジタル化を進めていくとしており、脱ハンコの動きは不可逆的なものとなっている。

21年度の税制改正により、今年4月から確定申告書をはじめとした税務関係書類への押印も廃止された。電子帳簿保存法も改正され、経理など間接業務のデジタル対応が進むと期待される。23年10月に導入される消費税の「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」への対応も急務だ。

脱ハンコはデジタル化推進と表裏一体の関係にある。押印廃止と同時に、書面・対面を前提とした業務プロセス全体の見直しやデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速していくことが重要だ。

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