HONGO AI 2021 BEST AWARD受賞企業インタビュー MENOU

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AIの力で社会の課題解決に挑むスタートアップの登竜門「HONGO AI」。2021年11月29日に行われた最終選考会で、HONGO AI BEST AWARD、視聴者賞ほか6部門に輝いたのがMENOU(東京・日本橋)だ。製造現場の検査工程の自動化を推進する「MENOU-TE」などを提供する同社の展望を、代表取締役CEOの西本励照氏に聞いた。

ノーコードAIで、日本の製造現場の自動化を推進
ノーコードであらゆる検査に対応できる

製造業のボトルネックの1つである目視検査。設計・開発ではCADやCAM、加工・組み立てではロボットが活躍しているが、検査は依然として目視に依存し、バラツキや属人化などが生まれている。画像検査装置の導入が進んでいるのは事実だが、検査装置は専門エンジニアに依存。そのため、高コストで導入に時間がかかり、導入後の保守やメンテナンスが必要なほか、技術的なブラックボックス化を招きやすいという問題もある。つまり“現場で回せない”仕組みになりやすい。

「検査は無意識下で判別していることも多く、仕様化するのが非常に難しい。しかし、この事実は検査装置を導入して初めて気付くことだ。仕様が現場に適していない状態で導入する企業が圧倒的に多いため、使えない装置が量産されている。検査装置は外注せずに現場で作るべきだ」

同社の製品・サービスは自動外観検査サービスの「MENOU-IN」、AI開発統合ソフトウェア「MENOU-TE」、組み込みAI開発「MENOU-EM」の3つ。企業の実態に即して活用できる。自動車完成品メーカーや部品メーカー、電子機器メーカーなどの大企業でも導入が進む。

「ノーコードであらゆる検査に対応でき、専門エンジニアがいなくても現場で導入、PDCAサイクルを回せるのが特徴だ。AIを誰でも使えるようにしたいという発想で作った。MENOUはExcelやCADの検査バージョンと考えてもらえばいい。つまり、入力するだけで誰でもAIが使えるという仕組みだ」

メイド・イン・ジャパンへの危機感から起業

代表の西本氏は高専出身。卒業後は高度なオートメーションを駆使した日本のものづくりに憧れて大手光学機器メーカーに入社した。しかし、製造現場における自動化はきわめて限定的であった。

「オートメーションが進んでいると期待していたが、実際は手作業だらけ。特に検査工程は全然自動化が進んでいなかった。“このままではメイド・イン・ジャパンがなくなってしまうのではないか”という猛烈な危機感があり、社内プロジェクトを経て起業した」

検査装置で重要になるのは開発速度だ。同社では「タスクコネクション」を使うことで開発速度と汎用性を担保する。これは、1つのAIの演算量を増やすのではなく、他社と比較して1,000分の1の演算量で済む独自のAIを組み合わせ、さらに各AIの責務を明確化させる仕組みだ。これにより、人間と同様の識別能力を持たせながら検証作業の負担軽減を実現した。これなら専門エンジニアに依存せずに現場で安心して回すことができる。「企業にはMENOUを活用することで自然とAIエンジニアを育成できるというメリットもある」と西本氏は語る。

誰もがAI活用でビジネスを創造する時代へ

MENOUを使えば自動化の検討を行わなかったものまでが自動化の対象になる。例えばフタ付けのような簡単だが自動化したうえで定量化すると価値のある作業。簡単な検査のデータを定量的に保存して可視化できている企業は多くない。というのも、そんな簡単な作業は自動化しても費用対効果が低いと思われているからだ。そんな作業こそMENOUを使って現場で自動化すべきだ。

「製造ラインでの不具合が検査結果としてリアルタイムでデジタル的に判明するので、フィードバックが容易で製品の歩留まりが即座に改善できる。製造量の1%が廃棄されているなかで、これをなくせば数兆円単位でロスを削減できるはずだ」

MENOUでは検査データを集めることができ、自分でAIを作れる。そうなると検査の自動化に留まらず、新しいビジネスや改善を思いつく人が増えるかもしれない。

「誰もがAIを作れるようになるのは技術的に難しいと言われていたが、今はノーコードで誰でも触れることのできる時代になってきている。学生や地方自治体のものづくり拠点にもMENOUを提供しているのは、様々なプロダクトを作ってほしいという思いからだ。ノーコードAIを使ってものづくりにチャレンジする人が増えてほしい」

ノーコードAIは“メイド・イン・ジャパン”を救うか。同社の発展を期待したい。

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