HONGO AI 2021 視聴者賞 受賞企業インタビュー DATAFLUCT

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AIの力で社会の課題解決に挑むスタートアップの登竜門「HONGO AI」。2021年11月29日に行われた最終選考会で、視聴者賞と三井住友銀行賞を獲得したのがDATAFLUCT(東京・渋谷)だ。ノーコード機械学習プラットフォーム「Comler(コムラー)」をはじめ、多彩なプロダクトを提供する同社の展望を、CTOの原田一樹氏に聞いた。

非デジタル人材でも使いこなせる「真の民主化ツール」
機械学習プロジェクトはなぜ失敗に終わるのか

多くの企業が機械学習プロジェクトをうまく推進できずにいる。それは機械学習プロジェクトのノウハウ不足やスキル不足、ビジネスサイドとエンジニアサイドの連携不足に起因するものだ。同社CTOの原田一樹氏が語る。

「機械学習プロジェクトをビジネスサイドだけで構想すると非現実的なものになり、エンジニアサイドだけでやるとビジネスの目標に合わないものができてしまう。相互に連携しないと本当にやりたいことはできない。正しい目標設定をするためには機械学習の知識がないといけないが、知識不足のケースも少なくない」

機械学習プロジェクトのプロセスは複雑だ。技術調査からPoC、本開発とそれぞれのフェーズを乗り越えないと本運用までたどりつけない。それができるのは、機械学習プロジェクト全体の4%と言われる。

「通常のITシステム構築と同じ思考で機械学習プロジェクトを進めると失敗する。重要なのは要件を検証して再び目標に戻るというプロセスを繰り返すことだ」

鍵は「ノーコード×テンプレート×自動化」

「ノウハウ、スキル、連携の不足」――。これら3つの不足を解決するのがノーコード機械学習プラットフォーム「Comler(コムラー。Collaborative Machine Learning Platform)」だ。一般的なノーコードツールはユーザーのプログラミングの知識を前提にしているが、Comlerは非デジタル人材でも使いこなせる真の民主化ツールを目指した。鍵は「ノーコード×テンプレート×自動化」だ。

「テンプレート毎のステップに対応するだけで簡単なデータ分析を可能にし、データの加工や評価、運用など、考えなくてはいけないことを減らした。今後は来客数予測テンプレートなど、目的特化型のテンプレートも増やしていく方針だ。データの準備からモデル構築、反映まで一連のプロセスを自動化する機能も搭載。直感的なUIを備えることで、技術者以外でも使えることを心がけた。豊富なノウハウを持つプロフェッショナルチームがサポート体制を組み、クライアントを支援していることも特徴だ」

同社ではあらゆる種類のデータ(マルチモーダルデータ)をつなげて資産化し、ノーコード、エンドツーエンドで活用できる環境を提供する「マルチモーダルデータプラットフォーム構想」を掲げる。データ収集・加工・蓄積のAirLake(エアーレイク)、データ分析のComler、SCMのための需要予測プラットフォーム(リリース予定)、ノーコード対話型BIプラットフォームのThryving(スライビング)という4つのサービスがシームレスに接続され、これらを組み合わせることで最大のデータ活用効果を発揮。個別に複数のベンダーを利用する場合と比較して導入費用やオンボーディングのコストを抑えられるほか、開発スピードやデータ連携のレベルを向上できる。マルチモーダルデータプラットフォーム構想が実現すれば、企業はデータ基盤構築やモデル構築・評価、モデル運用まで簡単にできるようになるだろう。

コラボレーションや産学官連携を推進

同社の今後の展望として、原田氏は「データ活用を楽しむ人を増やし、さまざまなコラボレーションを進めたい」と語る。

「まず、ツールにコラボレーション機能を増やすことで対応する。ビジネス責任者とプロジェクトマネージャ、エンジニア、運用担当者がスムーズに連携できるプロジェクト推進機能がその一例だ。また、企業間を超えてデータやモデルを共有できる取り組みを進める。差別化要因にならないようなデータであれば外部と共有してもいいのではないか。データを一社で閉じる必要はなく、データを流通させることで得られることがあるはずだ」

産学官連携にも意欲的だ。優れた特許やモデル、アルゴリズムであるにもかかわらず、プロダクトとして出ていない例は多い。世に埋もれた技術を発掘し、API化などで支援に取り組む。グローバル展開やIPOを視野に入れる同社の存在は、日本のデータ活用を大きく変えていくだろう。業種、業態を超えたコラボレーションが待たれる。

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