関西発・デジタルが描く未来社会〜日経デジタルフォーラム in Osaka Kansai①~

目次

2025年大阪・関西万博の開催を控えた大阪・関西地区。官民連携によるデジタルシフトやスーパーシティ区域指定も生かした豊かな未来社会の実現に向けて取り組みが加速している。11月4日に開催されたフォーラムでは、行政のデジタル化やスマートシティ戦略、デジタルを生かした観光ビジネスやヘルスケアなど、産官学の有識者を招いて議論・発信が行われた。

健康を軸に事業を展開

キーノートトーク
大阪のスマートシティ戦略
〜2025年万博に向け世界一の健康先進まちづくりが始動する〜

大阪府CIO 最高情報統括責任者 兼 スマートシティ戦略部長 坪田 知巳氏

今年3月、大阪スマートシティ戦略バージョン2.0を発表しました。その柱となるのが「公民共同エコシステムプロジェクト」です。440以上の企業・団体が参画する大阪スマートシティパートナーズフォーラムが中心となり、複数の民間・行政が連携して、高齢者および子育て支援や万博に向けた、インバウンドの再生、MaaSなどに取り組んでいます。

また、大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」にも通じる「スマートヘルスシティ」や、ヘルスケアと次世代モビリティを推進する「スーパーシティ」、さらに「行政DX」などを推進しています。

特にヘルスケア分野を中心に、これらの規制改革を伴う先進的なデジタルサービスを大阪で実装・モデル化。デジタル田園都市国家構想に基づいて、全国の自治体へ横展開できればと考えています。

健康データと医療データの連携・利活用を推進

パネルセッション①
「ヘルスデータ利活用による大阪スマートヘルスシティの実現とニュービジネス創造」

大阪大学 共創機構 特任教授 坂田 恒昭氏
塩野義製薬 取締役 副会長 澤田 拓子氏
大阪大学大学院 医学系研究科 特任教授/大阪警察病院 院長 澤 芳樹氏
西日本電信電話 執行役員 技術革新部長 白波瀬 章氏
大阪府CIO 最高情報統括責任者 兼 スマートシティ戦略部長 坪田 知巳氏
三井住友銀行 関西成長戦略室 兼 成長事業開発部 部長 宮川 潤氏
モデレーター|有限責任監査法人トーマツ 関西リスクアドバイザリー事業ユニットパートナー 永田 正孝氏

まずモデレーターを務める永田氏より「スマートヘルスシティの実現には産・官・学・医・金の連携が不可欠」という前提が示され、各分野を代表する6人が意見を述べた。

「ヘルスデータを利活用したスマートヘルスシティの実現に向けて何をすべきか」というテーマでは、澤田氏がデンマークの先進事例を紹介し「日本でも医療データの標準化や一般向けの健康アプリの互換性確保が必要」と主張した。また、坂田氏は産学連携に取り組むバイオコミュニティ関西の活動を紹介したうえで、「個人データを提供することのメリットを社会にどう発信していくかが課題」とした。一方、澤氏は「検診で得られる健康人のヘルスケアデータと病院にある病気のデータの対比により、いわゆる未病のデジタルマーカを見いだす」ことの重要性を訴えた。これに応じ白波瀬氏も「医療データ、検診データ、自己管理健康データを連携させたサイエンスに基づくデータの利活用ができる基盤」の早期整備が必要と述べた。

さらに行政の立場から坪田氏が「標準化の環境を整えるのは民間ではなく行政が牽引すべき」とし、そのプラットフォームとしてORDEN(大阪広域データ連携基盤)を位置づけるとした。また、宮川氏は「個人の医療データを預ける情報銀行のサービス」について紹介し、ヘルスケア分野への銀行としての取り組みの重要性を強調した。

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