北海道を先端地域へ DXで大胆に経済変える

目次

セッション① 限界の克服/スマート農業に力

東日本電信電話 北海道事業部ビジネスイノベーション部長 澤出剛治氏

澤出剛治氏

北海道では総務省の事業で1万8000キロメートルの光ファイバーが敷設される。道内隅々が光ファイバーで接続されることで、地域の産業振興や教育の充実などにつなげたい。地域を持続可能にするには、地域の総生産の維持が必要だが、人口減少局面では労働人口も減り地域の生産力に影響が出る。そのギャップをICT、AI、ロボティクスで埋めるチャレンジを進めている。

岩見沢市では市、北海道大学と産学官連携でスマート農業に取り組んでいる。ローカル5Gによる通信基盤を整備し、その利活用、無人農機の制御技術開発、収益向上を重点に置く。最先端のICTにより夫婦2人で、同市の平均的な農家の耕作面積の約3倍に当たる58ヘクタールを実際に耕作するケースも出てきた。

さらにAIの活用も含め、今後もスマートアグリシティー実現に向けた取り組みの推進、支援に注力していく。

セッション② 起業・創業/未注目データで勝つ

INDETAIL 代表取締役CEO 坪井大輔氏

坪井大輔氏

大学卒業後には起業・創業という選択肢もある。ICTにより、札幌のような地方でビジネスを始めても勝てる可能性はある。だから私は、戦略的に北海道にいる。

ICTの目的はデータの活用。あらゆるモノがネットにつながるIoT時代、すでに誰かが持っているデータには価値がなく、まだ誰も注目していないデータが商機になる。

世界のトレンドは人と人、人と動物、人と地球、共創社会実現に向けたICT活用であり、そこがチャンスだ。ICTを活用した酪農でも、私ならシステムだけ売るのではなく、おいしい牛乳を製造するところまでやる。今、世界人口の3分の1のたんぱく源は昆虫食だ。飼育による環境負荷が高い肉食に比べ、わずかな負荷で済む昆虫食が主流になる可能性がある。実際にIoTを活用してコオロギ養殖を始めた。これがベンチャーのやるチャレンジだと考えている。

セッション③ 働き方改革/距離超え大きな可能性

グーグル・クラウド・ジャパン パートナーマネージャー 小澤真由子氏

小澤真由子氏

コロナ禍で大学生は遠隔授業で学校に行かない、友人と会えない苦労があるだろう。ビジネスの世界でもオフィスだけが仕事場ではないという認識も一般化し、仕事に対する価値観も大きく変わっている。

この変化に対応し、例えば Google Workspace のメールやチャットを活用して、仕事とプライベートの両立や、遠隔地間での新しいビジネスチャンスなどが起こっている。

この環境や意識の変化に応じた新しい働き方は、「誰にとっても」働きやすい環境への変化ともいえる。北海道は、場所の制限から解放され、住み、働く場所として大きな可能性が開けている。

DX、テクノロジーによるよりよい社会への変革は、技術だけでは実現できない。イノベーティブなアイデアが生み出される多様な組織であること、リスクを取って意見を言い合える心理的安全性のあるカルチャーが大切である。

セッション④ 商農工ネットワーク/学域融合に期待

十河政則氏

十河政則氏

イノベーションには、異質が融合することが重要だ。当社がさらに発展するためには、先端技術をいかに確立し他の企業や研究所、大学と連携したオープンイノベーションを進められるかが不可欠な条件である。異質な者同士による知の格闘技が欠かせない。さらにDX時代に必須なAI人材が足りない。大阪大学と包括連携して人材の育成に注力している。

北海道国立大学機構の設立目的にスマート農畜産業がある。生産から流通までトータルで最適化するスマートフードチェーンへの挑戦だ。当社でもコールドチェーン事業として、生産から消費まで一貫したデータ管理により、鮮度保持、食品の廃棄ロス削減、二酸化炭素(CO2)排出量削減といった社会課題の解決を目指している。

実現には生鮮食品の鮮度保持管理のための冷凍冷蔵や空気組成制御の技術、鮮度センシング、ブロックチェーン等のデータ管理に加え採算性を担保するビジネスモデル構築も重要。そうなると農学、工学、商学にとどまらず経営学、情報学、金融工学など広い学域の融合が必須となる。多様な学域融合で北海道国立大学機構の新たな挑戦の成功を願っている。

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