技術の恩恵 全国民に 〜デジタル立国ジャパン・フォーラム①〜

目次

日本の強みをデジタルで繋ぐ国家創造

デロイト トーマツ グループ CSO(戦略担当執行役) 松江 夫氏

在るものを活かし、無きものを創る

不要なものが削られ必要なものだけが残っていく。両極化の時代において日本社会のデジタル変革はどう進めていくべきなのか。

世界デジタル競争ランキングで日本の順位は27位。とりわけビッグデータの分析・利活用は63位と最下位に近い。数周回遅れと言っても過言ではない。

なぜこうなってしまったのか。その真因は日本のカルチャーに根差している。いわば内向きなタコつぼ社会。領分の中に閉じて、変化に対して慎重な文化がデジタル変革の弊害となっている。しかし、これらは過去の日本の成長を支えてきた仕組みであったことも事実だ。日本は自ら変化を起こすのは苦手でも、一旦起きた変化に対しては適応する高い柔軟性を持っている。

「在るものを活かして、無きものを創る」。それが日本社会らしいデジタル変革の在り方だ。そのために「データをとる」「つながりを作る」「価値を生み出す」3ステップの価値創造サイクルを回していくことが必要だろう。可視化したデータをサイバー世界でつなぎ、仮想空間の中であるべき社会の姿を創ってシミュレーションする。それをリアルの世界に反映していくことで新しい価値を創り出していく。

実はそうした動きはもう始まっている。例えば前橋市では個人認証を一本化した「まえばしID」を使って、交通や医療、福祉、食といった個別に存在する「在るもの」を結びつけ、市民が様々なサービスを享受できるスーパーシティー構想を進めている。また自動運転の分野ではすでに「在る」日本の技術を生かしつつ、セキュリティーのルール形成を世界に先駆けて進めている。

すでに「在る」日本の最大の強みは「人財」だ。ポテンシャルの高い人財に、デジタル教育と実践の機会を与えることで「無きものを創る」ことができる。そのデジタル人材を創る環境が日本は乏しい。80%近くの企業でデジタル教育がされていない。当グループでは、人財育成と産業創造が相互に結びつく官民連携プラットフォームづくりを進めている。人を基軸にして経済的価値と社会的価値を高めていくことこそが、日本の目指すべき道であろう。

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