豊かさもたらす変化を 〜デジタル立国ジャパン・フォーラム③〜

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昨年9月のデジタル庁の発足や「デジタル田園都市国家構想」の推進など、デジタル化の遅れを取り戻すため、産官学が力を合わせて日本社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいる。デジタルを意識することなく、年齢を問わず誰もが多様な幸せを追求できる「真のデジタル社会」の実現に向け、いま何をすべきか。5月23日・24日の2日間にわたって実施された「デジタル立国ジャパン・フォーラム」(主催:日本経済新聞社、日経BP)では、”誰ひとり取り残されないデジタル化〞へ、産官学の有識者が集い、デジタル立国への道筋について熱い議論が交わされた。

「デジタル原則」で社会刷新 〜デジタル立国ジャパン・フォーラム①〜 を読む
人材230万人育成へ前進 〜デジタル立国ジャパン・フォーラム②〜 を読む
知を集結、新たな国造り DX推進で幸福感向上 〜デジタル立国ジャパン・フォーラム④〜 を読む
セキュリティー 意識改革を 〜デジタル立国ジャパン・フォーラム⑤〜 を読む

非IT人材に門戸開く

ServiceNow Japan 執行役員ソリューションコンサルティング事業統括 事業統括本部長 原 智宏氏

テクノロジーによってステークホルダーを有機的につなげ、データやノウハウの共有によって業務を円滑に進める。当社はこれをDXと捉え、この仕組みこそがイノベーションを起こす源泉であると考えている。

例えば、ある建設機械レンタル企業は、当社のソリューションである「ナウプラットフォーム」を導入。ウェブ上で受注を行い、その情報を配送事業者と共有することで、生産性向上につなげている。ただし、DXの最大の効用はこうした業務効率化ではない。顧客情報や技術情報などの蓄積と共有を基盤に、顧客ニーズを掘り起こし、新規サービスの提案を行うことが重要だ。実際、同社は単なる建機レンタルにとどまらず、顧客への様々な提案によって、事業の拡張を図る。

こうした仕組みの実現には、DX化をIT人材にだけ任せるのではなく、非IT系人材に門戸を開く必要がある。非IT系人材をエンパワーメントすることで、DX化に参画させ、より良いエクスペリエンスを生み出す。このエクスペリエンスが様々な付加価値を創造するサイクルを回す。

当社の役割は、こうしたエクスペリエンス志向のプラットフォームをユーザー企業へ提供することだと考えている。

人とデジタルの協業を

富士通 執行役員 SEVP Japanリージョン CEO 堤 浩幸氏

地方と都市の格差、平均寿命と健康寿命とのギャップ、低い労働生産性――。日本は今、数多くの社会課題を抱える。当社はその解決の鍵が「人とデジタルとの協業によるDX」だと考えている。こうした発想から生まれたものが「CaaS」(富士通のコンピューティング技術を提供するクラウドサービス群)であり、「健康・医療」「新薬開発」「市場動向分析」「災害の早期予報」などでの活用につながる。

データ取得やシミュレーション、あるいは利用者による情報の理解やタイムリーなアクションが、いずれも簡単でわかりやすく提示される社会を目指す。

コンピューティング技術が身近になることで、人文社会科学とデジタル技術の掛け合わせが広がる。前者には行動科学や医学・心理学、経済学などが、後者には人工知能(AI)やデジタルツイン、アクトライザー(映像処理による行動分析技術)などが挙げられる。これらの技術の融合がシナジーを生み、諸課題を解決へと導く。

当社のパーパス(存在意義)は「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」だ。人を中心としたDXが日本社会に豊かさをもたらすと信じている。

成長をデジタル実装で

セールスフォース・ジャパン インダストリーズ トランスフォーメーション事業本部 執行役員 公共公益事業開発室 室長 上田 歩央氏

日本は少子高齢化、グローバル化、産業・就労の変化、地域・格差への対応、ワークスタイル改革と人材の育成などの社会課題を抱えている。こうした課題の解決に向けて、岸田内閣が打ち出したのが「新しい資本主義」の実現だ。新しい資本主義の主目的は新市場創出や経済成長にある。国が経済力を高め国民生活を豊かにするために、そして企業がブランド価値を高めるためには、人材育成が何よりも大切であり、教育・学習基盤を整備する必要がある。また、成長の実現には、学びと就労のサポートや投資促進、業務の標準共通化などのデジタル実装が重要なポイントになる。コミュニケーションを統一的に実装できるプラットフォームとSaaSの活用が必要であり、当社もインダストリー・クラウド・サービスでデジタル政府の実現に貢献したい。

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