知を集結、新たな国造り DX推進で幸福感向上 〜デジタル立国ジャパン・フォーラム④〜

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もっと便利で快適な社会の実現に向け、デジタル技術をどう活用していくべきか。「デジタル立国ジャパン・フォーラム(主催:日本経済新聞社、日経BP)」の2日目は、地方創生、健康・医療・介護、データ活用、サイバーセキュリティーなど多様な観点から、産官学の有識者によって議論が深められた。知を結集し、共創によるデジタル変革によって、新たな国造りを進めるための道筋が示された。

「デジタル原則」で社会刷新 〜デジタル立国ジャパン・フォーラム①〜 を読む
人材230万人育成へ前進 〜デジタル立国ジャパン・フォーラム②〜 を読む
豊かさもたらす変化を 〜デジタル立国ジャパン・フォーラム③〜 を読む
セキュリティー 意識改革を 〜デジタル立国ジャパン・フォーラム⑤〜 を読む

デジタルで「3つの不」解消

デジタル田園都市 国家構想担当大臣 若宮 健嗣氏

岸田内閣が掲げるデジタル田園都市国家構想は、新しい資本主義における成長戦略の重要な柱の一つだ。人口減少、少子高齢化、産業空洞化に直面する地方にこそ、デジタル技術を活用するニーズがある。不便、不安、不利という地方が抱える「3つの不」を解消し、地域ごとの個性を生かしながら、地方から全国へのボトムアップの成長を目指すのがデジタル田園都市国家構想だ。

既にスマート農業など、各地で素晴らしい取り組みが出始めている。今後、こうした各地の点の好事例を線としてつなぎ、さらに面へと広げていく。このほど開催が宣言された「Digi田甲子園」も、各地の優れた取り組みを集めて表彰し、この動きを加速させるものだ。

ウクライナが示す政策の重要性

慶應義塾大学教授 村井 純氏

ロシアによるウクライナ侵攻はデジタル立国という観点でも、非常に大きな意味がある出来事だ。ウクライナからは世界に向けて、SNSなどで様々な情報が発信されている。戦火の中でもウクライナの電力インフラが維持されているから、人々は充電したスマートフォンで情報発信を続けられるのだ。実はウクライナは今年2月、侵攻される直前にグリッド(送電網)をロシア系統から切り離していた。そして今はEU諸国の大陸欧州系グリッドと同期している。切り替えを速やかに進めた政策が、現在のウクライナからの情報発信を可能にしている。

こうした現状を見ると、デジタル立国実現には過度な「民任せ」はリスクだと思う。官民学すべての知を結集させるべきだ。例えば日本のデータセンターの東京への集中度合は顕著で、防災や安全保障の観点から問題があると思う。こうした状態の改善には民だけでなく官民の協力が不可欠だ。デジタル人材の育成や、「1人も(デジタル化の恩恵から)取り残されない」という目標の実現にも民間と行政は協力する必要がある。民間から約3割の人材を登用したデジタル庁の試みなどは興味深い。今後も優秀な人材が官民を行き来する仕組みが望まれる。

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