知を集結、新たな国造り DX推進で幸福感向上 〜デジタル立国ジャパン・フォーラム④〜

目次

デジタル教育推進を支援

インテル 代表取締役社長 鈴木 国正氏

当社では「ユビキタス・コンピューティング」「常時接続できるコネクティビティー」「クラウドからエッジまでをつなぐインフラ」「人工知能(AI)」の4つが、デジタル社会において、破壊的なイノベーションを起こし続ける原動力となるスーパーパワーズだと考えている。日常生活のあらゆる接点でデジタル化が進む現在、世界のデータトラフィック量は今後も加速度的に増えていく。コンピューティング性能とデータ量は正比例して動くので、半導体市場の成長はしばらく継続するだろう。この状況下で、当社はリーダーシップ製品の提供、オープンでセキュアなプラットフォーム基盤、大規模かつ持続可能な製造整備投資などを戦略的に進めていく。

本格的なデジタル社会に向け、デジタル人材の育成は非常に重要だ。日本はGIGAスクール構想により、1人1台端末の配備を終え、ICTをフル活用した教育への転換、デジタル教育の推進に向けた動きが活発化している。当社はデジタル教育を支援する教員向け「Intel Skills for Innovation フレームワーク」を2020年から提供。STEAM教育に必要なICT環境整備を全国約20校で支援している。また地域活性化に寄与する取り組みとして自治体や地元企業の人々と共に幅広い層を対象にDX準備教育プログラムを22年度中にスタートさせる。

デジタル田園都市の実践

パネルディスカッション

(左)前橋市長 山本 龍氏
(右)前橋市アーキテクト/ 前橋工科大学 理事長/ 日本通信 代表取締役社長 福田 尚久氏

(左)セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 公共営業統括本部、支社営業統括 兼 韓国リージョン統括 伊藤 孝氏
(右)デロイト トーマツ グループ ガバメント&パブリックサービシーズインダストリーリーダー 香野 剛氏

〈司会〉日経BP 総合研究所 主席研究員 小林 暢子

デジタル田園都市国家構想。その推進交付金対象としての名乗りを、前橋市が上げている。同市が構想するデジタル田園都市とはいかなるものか。その企画や実装に関わるキーパーソンが、司会の小林氏のもとに集まった。

市長の山本氏は、同市34万市民の多様性を強調する。この多様な市民が、互いに信頼を結び、共に街づくりに参加し、市民一人ひとりが幸せに向かっていく。山本氏は「これをDXで実現するのが、デジタル田園都市の意義だ」と語った。

「まえばしID」と「めぶくグラウンド」は同構想の基盤である。まえばしIDとは、スマホを使った本人認証の仕組み。めぶくグラウンドとは、市と民間企業によって設立された、官民一体のまちづくりのイノベーション推進会社であり、まえばしIDの発行主体だ。

この土台の上に、「市民の市政への参画」と「市民の暮らし全般の利便性向上」が実現される。つまりDXの活用で、行政が市民の意向を把握し、それを受けて医療、社会福祉、教育、交通など、暮らしに関わる様々な施策が実行される。福田氏は「この2つの循環によって、一人ひとりがウェルビーイングでいられる街が生まれる」と語る。

DXの利用は、老若男女、未婚既婚、あるいは行政サービスの利用履歴など、個人情報に基づく行政サービスの提供を可能にする。香野氏はこれを「住民による申請を起点とするプル型から、個人情報活用のプッシュ型への転換だ」と語り、人口減少の中で行政サービスの水準を落とさない効果的な方法だと評価した。

一方、まえばしIDは電子署名法という法的根拠を持つ。これが市民、行政、双方の安心安全につながり、住民の意向を正しく行政に反映する基盤となる。伊藤氏はここに「誰も取り残されない、一人ひとりに寄り添ってサービスを提供するという行政側の思いが見える」と語った。

まえばしIDは多くの自治体から注目を浴び、現在、全国での利用が検討されている。同IDの普及と、同市のこれからの取り組みに期待したい。

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