データの力「持続可能なまち」にもマイナンバーで暮らし豊かに〜デジタル立国Winter①〜

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新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、官公庁や企業、国民生活のデジタル化の遅れが露呈。「誰ひとり取り残されないデジタル化」は喫緊の政策課題だ。そこで日本経済新聞社と日経BPは、デジタル立国への道筋や課題を考える「デジタル立国ジャパンフォーラム」を先月1日と2日の2日間にわたってオンライン開催した。政府関係者、学識者、産業界の有識者が集い、様々な領域でのデジタルトランスフォーメーション(DX)によって、社会全体のデジタル化を推進する取り組みや課題について議論した。

地方に新事業モデルを

デジタル庁 統括官 村上 敬亮氏

日本の人口は減少に転じた。人口が縮小する中、特に地方では暮らしを支えるサービス業が少なくなる顧客を奪い合い、競争が激化し、生産性を維持できない状況が生まれている。それを解決するのが「デジタル田園都市国家構想」だ。

日本経済の7割はサービス業で、その多くは労働集約型。人口減少下で増やせない供給リソースを有効活用するためには、「バスが顧客の都合に合わせてオンデマンドで動く」など、需要と供給を逆転させた発想が必要となる。需要動向をリアルタイムで共有するデジタル基盤も不可欠だ。

地方創生成功パターンへの仮説は次のようになる。デジタル基盤による生産性向上は1社の力だけでは難しい。地域の事業者→各社の戦略とエリア全体の2つの戦略を連動させ、デジタル基盤の開発・運営を担うソーシャルベンチャーと地域の事業の好循環を生み出すことが必要だ。

例えば、マイナンバーカードを活用したデジタル基盤に対して、鍵となる事業として観光・消費市場の活性化を選ぶ。そこへ連携サービス群をつくっていくという流れだ。集めた行動履歴データを基に集客戦略を考え、マイナンバーカードを割引に使い、宿泊や特産品販売に結びつける。デジタル基盤でデータを集め、集めたデータを基にビジネスを回転させるのだ。

こうした好循環がひいては、地域のスタートアップ・エコシステムの形成へとつながっていく。失敗を恐れず、デジタルを使いながら、地域のサービス業の生産性向上に取り組んでほしい。

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