市民が幸せな都市づくりを 〜SCI-Japan特別フォーラム①〜

目次

特別対談「自治体の指標活用促す」

(左)デジタル庁統括官 国民向けサービス グループ長 村上 敬亮氏
(右)スマートシティ・インスティテュート(SCI-Japan)専務理事 南雲 岳彦氏

村上地方創生の成功例として香川県三豊市は過去5年間で観光客を年間1万人から50万人に増やした。きっかけは「UDON HOUSE」という体験型宿泊施設だが、それだけが要因ではない。その成功を見た人たちが「私も起業を」と後に続き、最終的には地元企業12社が1社500万円ずつ持ち寄って「URASHIMA VILLAGE」という宿泊施設もオープンした。高齢の方々もゴミ拾いなどのボランティアとして参加し、地域のコミュニティができている。三豊は市民のクラウドファンディング率が日本一高い。市民自身がどんどん事業に参画している。このように、町に関係する人たちが自分たちの町の暮らしに自分たちで投資し、自分たちで次に進むというエコシステムを、デジタル技術をツールにしてつくることがデジタル田園都市国家構想で目指したいゴールだ。 例えば自治体やバス会社2社、タクシー会社2社が市民の移動サービスに関して共同投資でデータ連携基盤をつくろうとしても、「そちらだけ儲(もう)けようとしていない?」「負担額が不公平だ」など疑心暗鬼が渦巻きうまくいかないケースが多い。こんな時は市民が間に入るしかない。「社長さんたち、喧嘩(けんか)していないで一緒に町を盛り上げようよ」という市民の声が共助のビジネスモデルを生む。市民の声と事業を一つのエコシステムにまとめる手段がウェルビーイング指標だ。個々がバラバラで山頂なき山登りをしているような事業を市民の暮らしやすさや幸福感への寄与という可視化できる指標で見直す必要がある。 南雲今回、デジタル田園都市国家構想のタイプ2、タイプ3の交付金給付に際しては、SCI-Japanが開発した「リバブル・ウェルビーイング・シティ・インディケーター」(LWC指標)の採用が条件となった。LWC指標のガイドブックもデジタル庁のホームページからダウンロード可能。LWC指標の特徴は客観と主観の両データを使っている点。客観データは「医療・健康」「子育て」「文化・芸術」など22分野を定め、ここに自治体などが公表している100種類以上のデータを当てはめ、暮らしやすさを数値化したもので環境の因子といえる。さらに市民が町で実際にどのような行動をしたのかを把握して行動の因子のデータを取る。主観データとしては「あなたはこの町に住んで幸せですか」という観点と、「あなたの周囲の人も幸せに見えますか」という観点のアンケートを実施し、主観的な幸福感を測定する。これは心の因子といえる。こうした因子を総合評価して指標を算出している。 村上LWC指標は順位付けをするためのものではない。各自治体に使ってもらってフィードバックを得て、どんどん改良していきたいと考えている。

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