DXと並走 “遠隔臨場”目指せ

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新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの企業が昨年、テレワークの導入に踏み切った。テレワークは感染症予防対策のみならず働き方改革や業務効率化につながるとして期待が大きいが、一方で臨場感の不足など導入・定着に向けた課題も浮かぶ。企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の観点からも環境整備が求められる。

働き方改革、採用にも利点

国土交通省の調査によると、緊急事態宣言(1回目)が発出された昨年4〜5月、首都圏でテレワークを行った雇用型就業者は31.4%であった。3月以前の13.5%からは、倍以上の急増である。

しかし、昨年6〜10月には感染症への恐れが和らいだのか、この割合はわずかに減少した。

「今年の調査結果は未発表であり、推測の域を出ないが、実施割合が1回目の緊急事態宣言時を大きく超えたとは考えにくい」と話すのは、日本テレワーク協会専務理事の田宮一夫氏だ。

一方、地方都市圏でもテレワークは増加したが、昨年4〜5月で13.6%と、首都圏の半分に満たない。今後、日本企業にテレワークがどれほど浸透していくかは、未知数だ。

コロナ対応策として拡大したテレワークだが、実は企業、従業員の双方に多くのメリットがある。

企業には、オフィスの賃料や通勤コストの削減、今回のような感染症の流行だけでなく、地震や台風などの災害時の事業継続計画(BCP)対策としても有効だ。

従業員にとっては、通勤ストレスからの解放や長時間労働の削減などの他に、家事や育児、介護、病気治療などと仕事が両立しやすいという利点がある。

これは企業にとってもメリットだ。少子高齢化による労働人口減少が危惧されるなか、家事や育児などの事情で従来、採用が難しかった人材を確保できるからだ。また、高齢者や障がいを持つ人、海外居住者の雇用も可能となる。

しかし、現実にはテレワークでは生産性が上がらず「原則出社」への揺り戻しが起こってしまった企業も多い。

田宮氏は生産性の低下を「緊急避難的に導入を進めたため、環境整備が不十分なまま、運用されたからでは」と分析する。

従来の仕事の進め方やルールはオフィスでの運用を前提に設計されたものだ。これをテレワークにそのまま適用して行えば、生産性が下がるのは当然だろう。行うべきはテレワークを前提とした新たな働き方の模索である。

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